ユーザー企業の苦悩〜理想と現実の間で〜

ITを導入する側の企業、ユーザー企業にとっては、自社の業界の話や自社の仕事の分野には精通していますが、IT用語には精通していません。ですが、ITの話となると、決まって横文字(英語)の言葉が羅列されます。
「クラウド」「ビッグデータ」「SaaS、PaaS、IaaS」「BYOD」「SOA」など、枚挙に暇がありません。

グーグルやアップルなど、ITの最先端は英語圏であり、かつITはどんどん新しい情報に置き換わっていくこともあり、日本語に訳されることなく、直輸入された言葉をIT技術者は使うことになります。

これだけではありません。機械にまつわる技術的な話や、ITの仕組みの話自体が、一般人にとっては相当複雑なお話です。この結果として、ユーザー企業は「煙に巻かれる」ことになるのです。

「もっと噛み砕いて話してもらいたい」
「分かりやすい言葉を使って伝えてほしい」

ユーザー企業の担当者の多くはそう思っています。IT技術者が簡単に理解できるからと言って、ユーザー企業のすべての人がそうとは限らないのです。

また、ユーザー企業にとっては、自社がシステムでやりたいこと、業務要件を、簡単にはシステム会社に伝えられないのです。そして、システムを導入した後になって、

「ほんとは○○してほしかったのに…」
「なぜこんな簡単な○○ができないのか?」

といった意見が社内の利用者からあがってきます。ユーザー企業のシステム部門、システム担当者が社内で責められます。

片や、システム会社からは、

「そのような要件、元々はなかったですよね。」
「追加費用について相談させてください。」

と突き上げられます。こうしてシステム担当者は、板挟みになってしまいます。

ITで大きなメリットを享受しようとすれば、それなりに巨額の費用が発生します。ユーザー企業の担当者は、そんな重責のなかでプレッシャーに耐えながら、縁の下で努力を続けておられます。