ビジネスIT

【2026年最新版】IT投資額の目安は?売上比率や適正予算、失敗しない投資判断のポイントをプロが解説

世間一般的なIT投資額の目安は?

「IT予算としてどの程度かけるのが妥当なのでしょうか」という問合せをよくお聞きします。
参考になる指標として、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)より『企業IT動向調査2026』が発表されました。

調査結果によると、「売上高に対するIT予算比率」のトリム平均値は1.47%で、2024年度の1.40%から0.07%の増加傾向にあります。
また、業界により差が大きいことも分かっています。金融業界のIT予算比率が6.20%と高く、逆に建設・土木の比率は0.89%でした。

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)のサイトはこちらをご覧ください。

また、日本経済新聞(2021/7/13朝刊、『名ばかりCIO、場当たりDX』)では、下記の記載がありました。

米ガートナーによると、日本企業の売上高に対するIT予算の割合は2020年に推定1.0%、北米の3.3%、欧州・中東の2.6%に水をあけられている。

このように、日本企業のIT予算が外国企業のIT予算に比べて低いことが明らかになっています。
企業の戦略によってIT投資比率には自ずと差が発生しますが、このようなデータも参考にしてみていただけると幸いです。

IT投資額の目安は、各々の企業のIT戦略によって決まる

企業のIT戦略によってIT投資比率には自ずと差が発生します。

IT投資に関心を持たない企業の場合は、当然、IT投資比率は下がります。
「IT化したら入力作業がたいへんになるので、Excel管理で十分」といった企業の場合、IT投資は、PCの買換、ネットワークインフラ、既存システムの維持が中心となりますので、IT投資額の目安はかなり低くなると想定されます。

逆に、IT戦略に強い関心を持つ経営者・経営層、「攻めのIT・DX」を推進する企業は、「入力作業の手間、入力作業の負荷の軽減、業務効率化」を越えて、自社の収益力、経営力向上を実現するためのIT投資を積極的に行っています。そのため、IT投資額の目安は上がると想定されます。

ざっくり計算!IT投資額のシミュレーション

例えば、年商20億円の企業が、基幹システム(ERP)を刷新する場合の目安を見てみましょう。5年利用の前提とした目安は下記のようになります。

  • 売上高の1%を投資する場合: 年2,000万円 × 5年 = 1億円
  • 売上高の1.5%を投資する場合: 年3,000万円 × 5年 = 1億5,000万円

昨今の物価高騰や、デジタル人材不足による人件費上昇、さらにクラウドサービスの月額費用(サブスクリプション)化を考慮すると、従来よりも少し余裕を持った予算組みが必要になる可能性も想定されます。

IT投資計画を精緻化するための3ステップ

IT投資計画を「確信を持てる投資」にするために、以下のプロセスが望まれます。

1.RFP(提案依頼書)による「見える化」

IT投資額を精緻化するためには、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)を策定して、自社のITニーズをまとめ、自社のITニーズによりフィットした提案をしてくれるITベンダー(システム会社)を探し出して、導入費用を見積もっていくことが欠かせません。RFPにより、自社の現行業務と、解決したい課題を明確化できます。

【参考記事】RFPを作成して業務を見える化する

2.相見積とベンダーロックイン対策

RFPをもとに、自社の要件により近いシステムを選定します。単に価格だけで選ぶのは危険です。RFPでまとめた要件と照らし合わせて検討します。

また、特定のITベンダーに依存しすぎて他社への乗り換えが困難になる「ベンダーロックイン」を防ぐため、将来的な拡張性やシステムの柔軟性、契約条件なども丁寧にチェックします。

【参考記事】基幹系業務システム選び:相見積をとることが重要
【参考記事】システム会社(ITベンダー)とうまくお付き合いするコツ

3.投資対効果・コストパフォーマンス(ROI)の数値化

「IT化を行うことによって、どれほどの金銭的な価値を生み出すか」
「IT化でどれほどの生産性向上を生み出すか」

でお悩みの経営者もいらっしゃると思います。

  • 「在庫回転率が〇%向上して、保管コストが削減されるとともに、キャッシュフローが改善する」
  • 「歩留まり(生産された製品のうち、良品の割合のこと)が改善されて、収益率が○○%向上する」
  • 「IT化によって、業務担当者を○○名プロフィットセンター(利益を生み出す部門のこと)に異動できるから、年間○○万円の人件費を有効活用できる」

IT化の成果測定は非常に難しいですが、IT投資額に対して、具体的にどの程度の数値的なメリットが目指せるかを算出することが、経営判断の根拠になります。

また、基幹系業務システムの更改においては、「もし現在IT化している業務をすべて手作業に戻した場合、年間○○万円の人件費が増加する」といった数値化もあり得るかもしれません。

 

カスタマイズ費用の妥当性をどう判断するか

IT投資額の目安を考える上で、大変重要なポイントの一つは、パッケージソフトウェアのカスタマイズ費用です。

パッケージソフトウェアを提供するITベンダーの多くは、カスタマイズはしてほしくありません。私のSE経験からすると、現場のSEの立場としては、極力カスタマイズはしてほしくありません。

パッケージソフトウェアのカスタマイズは、基幹システム導入費用、保守費用増大を招きます。IT投資において、カスタマイズ費用の妥当性をどう判断するかが重要です。

カスタマイズの目安は「自社の利益の源泉となるカスタマイズ」であるかどうか

元々のパッケージ導入費用が当該IT投資予算を大幅に下回った(予算の5割以下)場合は、カスタマイズ費用を多くかけることは妥当と考えます。カスタマイズの内容にもよりますので、「すべて妥当である」とは申しませんが、元々のパッケージをいわば「Fit to Standardに対応していない“半製品”」と見なす考え方であり、私はこれはこれで妥当なIT投資の判断なのではないかと考えます。

逆に、元々のパッケージ費用導入が当該IT投資予算の7〜8割を超えている場合は、予算に十分見合ったパッケージを選んでいることから、これ以上のカスタマイズをするか否かは、注意が必要と考えます。

その場合は、カスタマイズを行うことで自社に利益がリターンされるかどうかを、経営層が納得してから判断する必要があります。
RFP(Request For Proposal:提案依頼書)を策定し、業務の見える化を行った上で、「カスタマイズが自社の利益の源泉となる」のであれば、多額の費用が発生してもカスタマイズを許容することになります。

大企業/中小企業のIT投資判断ポイントの大きな違い:売上・仕入「依存度」

中小企業のIT投資の現場で、大企業と大きく異なる環境の1つが、中小企業が「数社の上お得意先の下請業務が、全体売上の大部分を占めている」点です。上お得意先に対して、きめ細かい業務対応を行うために、現場の業務が複雑化しているケースが多いです。
これを無視して、一般論の「業務をシステムに合わせる」を強いることは困難です。

とはいえ、聖域を作って、何の議論も無しに「システムを業務に合わせる」こともあり得ません。
上お得意先に相談すると、業務を変えてくださることも実際にあります。

上お得意先も下請企業も、一緒に成長していく必要があります。「元請企業だけが栄えて下請企業が損をする」「お客様だけが得をして、サプライヤーが損をする」、またはその逆も、これからの時代には通用しません。ここで「失われた30年」で培われた古い考え方に終止符を打つち、「失われた40年」を防ぐ必要があります。

大企業=元請企業、中小企業=下請企業の関係でいえば、大企業=元請企業のほうがIT化が遅れている事例は多くあります。元請企業をIT化から「置いていく」ことも、お互いの成長にとって好ましくありません。取引先との十分なコミュニケーションが求められます。

結論:IT投資判断は「経営判断」そのもの

IT投資の判断は、単なる業務のIT化ではなく、「3年後、5年後、10年後の自社をどうデザインするか」という経営判断です。

特に、2026年現在は、DX推進や人手不足への対応において、IT投資の成否が企業の存続に影響を及ぼす状況にあります。一時の流行に乗るのではなく、自社の経営ビジョンに沿って、自社が主体的にIT化/DXを推進することが、これからの時代を生き抜く道と考えます。


「自社の適正なIT投資額を知りたい」「自社に相応しいシステム選定を行いたい」という方は、是非一度当社のオンラインコンサルティングをご活用ください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP