基幹システム導入・更改プロジェクトを編成する

基幹システム(別名で、基幹系業務システム、基幹業務システムともいいます)とは、例えば、生産管理システムだったり、販売管理システム、運送管理システム、在庫管理システムといった、「このシステムがなくなったら会社の業務が止まってしまう」ような、事業遂行に不可欠な、企業の中枢となるシステムを指します。

専門サイトでは、次のように定義されています。

基幹系システムとは、企業や官公庁などの情報システムのうち、事業や業務の中核に直接関わる重要なシステムのこと。または、全社で共通して利用される、その組織全体の基盤の一部となるシステム。

基幹業務システムとは、企業がビジネスを遂行するために不可欠な主要業務を処理するために用いられているシステムのことである。

基幹業務システムの例としては、銀行における勘定系システムや、一般企業における生産管理システムや販売・在庫管理システムなどが挙げられる。基幹業務システムは、部門システムとは異なり、全社規模で運用される。

従来の基幹業務システムは、ハードウェアは大手企業ならメインフレームを、中堅中小企業ならオフィスコンピュータを用い、ソフトウェアはスクラッチで開発されることが多かったが、最近ではハードウェアにUNIX系システムやWindowsサーバーを採用したり、ソフトウェアにERPパッケージを用いたりすることも増えている。

基幹システム導入・更改プロジェクトを編成する

基幹システム導入・更改プロジェクトの編成にあたっては、営業部門・製造部門など、ユーザー部門(利用部門)に属する社員を必ずメンバーに入れることが重要です。これは各部門のヒアリングや意思疎通をスムーズに行うためです。「経営層だけ」や「IT部門だけ」で導入・更改を実施しようとすると、現場のニーズを把握できず、システム導入は困難を極めます。プロジェクトメンバーの編成は、今後の会社の浮沈に関わる重要な鍵となるため、慎重に行う必要があります。

プロジェクトメンバーにキーパーソンを入れる

プロジェクトメンバーを選定する上で重要なことは「キーパーソンを必ずプロジェクトに入れる」ということです。
キーパーソンとは、社内や部署内、または組織の人間関係の中で大きな影響力をもった人物のことをいいます。「この人を押さえておけば、周りの人は従ってくれるだろう」と思える人のことです。各部署で影響力をもったメンバーをプロジェクトに入れることで、プロジェクトの決定事項や新システムの仕様などがスムーズに各部署に伝わりやすい、また、各部署のメンバーを説得しやすいといった利点があります。

キーパーソンとは“クレーマー”の場合もある

貴社にも一人は“ITクレーマー”が存在するのではないでしょうか。ここで言うITクレーマーとは、社内のITシステムの非効率な箇所や改善点に対して、耳の痛い苦情や改善要求を言う人のことです。もし貴社内にITクレーマーがいるのであれば、できる限りプロジェクトに巻き込むことをお勧めします。
なぜならば、基幹システム導入・更改後のクレームが大幅に減ることが期待できるためです。ITクレーマーは現状の至らない点を把握していることが多く、プロジェクトのメンバーに加えることで改善案を聞き出すことが期待できます。結果的にプロジェクトの成功に繋がることが期待できます。また、「ITの改善には、想像以上に時間と費用がかかる」ことも肌で感じていただけます。そして、もし新システム導入後に仕様上の不具合が見つかったとしても、「あなたが決めたシステムですよね」と応じることが可能になります。
このように、ITクレーマーをプロジェクトに入れることで、現状の業務の改善点の洗い出しがスムーズに行え、導入後のトラブル回避も期待できるというメリットがあります。

ヒアリングには時間をかける

現状の業務を改善する基幹システムを導入するためには、現状分析と社内ニーズのヒアリングを徹底的に行う必要があります。もし、このヒアリングを疎かにし、現行業務と社内ニーズを無視してしまえば「使われないシステム」「クレームの止まらないシステム」になってしまいます。

余裕のあるスケジュールを組むことが重要です。補助金などの申請時期にシステム導入を無理やり合わせるのではなく、じっくりとシステム導入のことを議論・検討できるスケジュールを組む必要があります。